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不動産の価格と賃料との関係|長瀬不動産鑑定事務所 広島市

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広島市
不動産の価格と賃料との関係
理論的な関係
賃料は、一定期間、不動産を使用収益することの対価であるのに対し、価格は、全耐用年数にわたる使用収益の対価です。
従って、賃料は価格の一部であり、将来にわたる賃料に基づく純収益を合計したものが価格であるため、価格と賃料との関係は、元本果実の関係にたとえられています。
もう少し分かりやすく言えば、ローンの借入金と毎期の返済額との関係と同様です。
現実の関係
上記のとおり、理論的には、賃料に基づく純収益を合計したものが価格なのですが、現実の関係は、この相関関係が希薄となっています。
何故なら、賃貸市場は供給過剰の地域が多く、土地価格に見合う賃料が取れない一方、取引市場においては、不動産の収益性に着目した取引より自用目的の取引が中心で、賃料収益に見合った価格以上で取引されているからです。
この関係認識は、とても重要で、このことが価格や賃料判定の差をもたらすと言っても過言ではありません。
賃料の遅行性
価格と賃料との関係で押さえておくべきことがもう一つあります。
それは、賃料の遅行性です。
バブル発生を考えて頂ければわかりいいと思うのですが、価格は将来予測を織り込んで変動しやすいのですが、賃料の方は、その予測が現実化したり、或いは実現性の蓋然性が高まらない限り変動しないんですね。
従って、賃料変動は価格変動に遅れがちという重要な性質があるのです。
一般の方はこのことが理解できず、土地価格の変動を持って、賃料の値上げや値下げ要求してトラブルになることが少なくありません。
還元利回りと期待利回り
意義
還元利回り→不動産に帰属する純収益から不動産の価格(収益価格)を求める際の利回りのこと。
v(価格)=a(賃料-必要諸経費等=純収益)÷r  このrのこと
期待利回り→純収益の不動産価格に対する割合で、不動産価格から賃料を求める際の利回りを言う。
t(賃料)=v×r’+必要諸経費等  このr’のこと
両者の関係
繰り返しになりますが、賃料は価格の一部であり、将来にわたる賃料に基づく純収益を合計したものが価格です。
従って、賃料から価格を求める際の利回りが還元利回りで、価格から賃料を求める際の利回りが期待利回りです。
だから、還元利回りと期待利回りは裏腹の関係になるのです。
両利回りは一致するか
結論から言うと、一致しません。何故か?
価格と賃料との相関関係が現実には希薄だからです。
還元利回りは地域によって用途によって不動産の個別性によって異なりますが、基本利率としては5%が標準的に採用されています。その理由はここでは割愛します。
上記で述べましたように、土地に帰属する純収益a÷r(還元利回り)=v(収益価格)
しかし、現実には、収益価格は実際市場価格を下回っています。
例えば、収益価格は市場価格の60%とするなら、
土地に帰属する純収益は
a=市場価格×0.6×r(=0.05)
地代の原資は土地に帰属する純収益だから、還元利回りr=5%に対し、期待利回りr’=0.6×0.05=3%と還元利回りより低くなっているのが現状です。
また、戸建住宅地の場合、収益性はほとんど顧みられないので、借地権のところで例を挙げたように、期待利回りは1.5%程度に過ぎません。
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